トゥルーピークの謎を研究する










私はとても神経質な性格で、目指しているものになれるように強いこだわりを持つ傾向がある
DTMもやり始めてから6年くらいが経過した
そして数年前、トゥルーピークという言葉を知った
DTMerなら「wav32bitfloat」というキーワードを目にしたことはあると思う
自分で作った楽曲をファイルに書き出すときの選択肢のひとつだ
「wav16bit」「〜320MP3」とは全く違う特性を持っている

音楽の世界では”0デシベル以上は存在できないよ”と誰もが口を揃えて
恥ずかしいコピペ文が並んでいるが、実はそれは大きな間違いだった
”トゥルーピーク”とは、マスターにリミッターなどを入れず、または
リミッターの0デシベルを越えた状態のままwav32bitfloatで書き出すと
”0デシベルを越えた状態”で音楽ファイルに出来る
その0を越えた部分のことを本当の限界、つまり”トゥルーピーク”という

DTMをしていてマスタートラックの音量が0よりも上に行って赤くなったことは
誰しも経験していると思うのだが、数年前に発見したことがある
私は以前から賑やかな楽曲はfripsideの「only my railgun」でリファレンスをしていた
楽曲の海苔波形を見て、この曲の波形を目指して行こうというこだわりが芽生えた
それからリファレンスに使う楽曲はレンタル等で借りてmp3やwavで波形を見る事が習慣になった
これはグーグルで検索しても載っていないのでおそらく僅かな人しか知らないと思うが

《市販のCD(とくにアニソン)はMP3で音源を書き出してもトゥルーピークを保っている》

という事実
グーグルで調べると「0デシベル以上はノイズになります」とどこもかしこも書いてあるが
”DTM環境によってはノイズにはならない”事に気付いたのだ
おそらくノイズになる派のページはどこかのコピペをして自分で調べていないのだろう
では実際に32bitfloat以外のトゥルーピークを見てみよう



ロウきゅーぶ!!SSのテーマ曲の「GET GOAL!!」のmp3の波形 サウンドクリエイターはfripsideの八木沼氏
レンタルCDを当時mp3に書き出したもの
波形をダイレクトに下げるのが一番やりやすいaudacityで表示している




1.0と書かれている部分が本来の0デシベルに相当し、これを超えことは普通できないが
増幅を選択してみると「-1.3」と表示されている
つまり限界値より1.3デシベル大きいですよという意味
そのまま0になるようにするためOKを押す


             ↑
  矢印の位置の時間2.0ちょっとすぎの波形に注目
             ↓



0デシベル以下に下げたところ、スッパリと四角く切れて出てくると思いきや
トゥルーピーク状態のギザギザで下がってきた
数年前にこの事に気付いて、これはどうやって録音したのかずっと悩み
DTMに詳しい人に聞いたりしましたが誰も知りませんでした

実際自分でもトゥルーピークmp3を再現してみました
マスタートラックにはリミッターすら挿していない


適当に打ち込んでわざと0より上になったままでmp3書き出した楽曲の波形




ご覧の通り+2あたりまで振れている

      


増幅は「-2.7」と表示されている
つまり限界値より2.7デシベル大きい音で書き出せたことになる
音割れはしていない




赤いラインのとがっている部分に注目
下の画像が増幅で0デシベル以下にしたもの



トゥルーピーク状態でmp3に書き出すことに成功した



次に上で説明したトゥルーピークmp3の「GET GOAL!!」を一度そのままaudacityで16bitwavで保存して、再度読み込んでみると
なんと0デシベルでスッパリとカットされてしまった
とても不思議な現象だ
ということはDAWで書き出したファイルのみ、mp3でもトゥルーピークが残るということ

(画像はGET GOAL!!)をwavに変換したあと-2.5してみた画像
audacityの再生システム利用でwav形式になったことでmp3内の音の情報が変化したのだろうか?






ちなみに上記の自分の楽曲を製作中にデシベルメーターの一番上に当たるようにマスターボリュームを上げてみたところ
ブン!ブン!と歪みが発生した

この音の歪みで推測されることはDAWには”0デシベル以外の限界値”が存在する、ということ
私が愛用しているのはFL STUDIOだが、このDAWに関しての限界値は+3デシベルだった
リミッターもコンプもなしでこれ以上の音量にすると音が歪んでしまう

また、再生環境も関係していることが推測される
私はsteinbergのオーディオインターフェースを使用しているのだが、リスナーがみんな
オーディオインターフェースを使用しているとは限らない
つまりこの「歪み音」はsteinbergの特徴なのかもしれない

よくDTM講座のサイトに0デシベルを越えるとノイズが出るというが、ノイズは出ない
このトゥルーピークmp3について以上で分かったことは



《mp3のままならトゥルーピークを引き継いで保つことができる》



ということ
おそらくDAWで作ってそのままmp3に書き出された楽曲は+3.0デシベルまでなら限界値を超えても
ノイズになることはなく、正常な音で書き出せると思う
FL STUDIOの場合が+3.0なので他のDAWではもっと上にいける可能性もあるが
つまり+3.0でリミッターをかけておけば+3.0の範囲まで音圧を詰め込みまくれるということになる

このサイトを、そしてこのページを発見してくれた人にしかトゥルーピークmp3の存在はわからないだろう
もし「0デシベル以上はノイズになります」と言ってる人がいたらその人は
そこらへんの情報を鵜呑みにして知ったかぶりをしている非DTMerか、もしくは
大昔のコンピュータミュージシャンで現在のDAWの知識がないのだろう


しかしトゥルーピークmp3はリスナーの再生環境によって音割れになることがあるので
くれぐれもやりすぎは注意したい
あと音圧の上げすぎはリバーブが無意味になるので音質は悪くなる