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               氷の悪夢




僕らは手を伸ばして扉を開けた
開かれて徐々に見えてくる景色

そこには雪のように透き通った色白い肌の美少女と貴婦人が共に座っていて、それを見つめる10人程度の子供達。
あたりはもうすっかり夜の帳で外が見えるガラス張りの不思議な場所だった。貴婦人はその美少女にみんなの前で挨拶するように言う。
しかし美少女は反応なく瞬きすらしない、そしてその美少女は青い血を吐いて倒れた
みんなが安否を心配して騒然とする中で貴婦人は「またですか」と小さく呟いた
それを見ていた僕らの意識が突然薄れて行く
これが氷の悪夢の始まりだった

僕らが目を覚ましたのは階段の入り組んだどこか深くて暗い地下
僕らは全員同じ場所で目を覚ましたようだ。時折水たまりになっていたり錆びてもろくなった頼りない鉄の階段が続いている。
僕らは仕方なく歩き始めた
(僕、中年男性、10代の少女、20代の男性の四人が僕らである)
小さな照明しかない、とても暗くて気味が悪い階段を下っていくとひとつの扉が見えてくる
ドアノブを回して開けてみるとそこはどこかのデパートだった。誰一人いなくて物音も全くない
デパートをさ迷い始めた物のどこの扉も開かず、外へ出ることは出来なそうだった
一度戻って、先ほど来た場所から正面の扉は開けることができた
また階段の続く空間だが、僕らは再び歩き始める
よほど高い場所にある階段なんだろうか下など全く見えない。ただブラックホールのように暗闇が続いている

「やかましいなあ…」

突然背後から聞こえた声に振り向くと若くて体格のいい男が立っていた

「もう少し静かに歩けないのか?うるさいんだよ」

「誰だ、ここはどこなんだ?」

僕の問いかけに彼はニヤリと不気味な笑みを浮かべた

「俺の事を忘れたのか?俺は今すぐにでもぶちのめしたいほどムカついてるんだぜ」

いつでも殴るという言葉とは裏腹で不思議と威圧感は感じない
誰なんだろうと記憶の中を模索していると公園で遊ぶ小さな僕が頭の中に映った
僕の遊ぶ場所に入ってきた少年に砂をかけ、無心に虐める自分の姿だった
彼はこちらを睨みつつ扉を開けて出て行ってしまった。
正直頭の中では理解ができていない不可解な男だ。その少年が彼だと言うのか…?

再び歩き始める

10代少女「ねえ、ちょっと寒くない?」
20代男性「ああ、確かに寒くなってきたな」

そんな会話を背に黙々と歩くのだが確実に気温が下がっていると感じた
次第に吐く息は白く吸い込む空気は刺々しい感覚に変わってゆく
それは段階を得るように冷たくなっていき、ついには壁や手すりも凍るほどになっていた
冷凍庫の中にいるように寒く終わりの見えない階段だがここから脱出したい一心は選択肢がなく、全員をただ歩かせている
何時間階段を下り続けたかという時についに地面が見えてきた

「もうダメだ…」

もうそこに通路が見えているじゃないかと声をかけようと振り返ると20代男性は変わり果てた姿になっていた
血の気を失った顔色に目は光を失い、こちらを襲いかかる勢いで歩み寄ってくる
彼はゾンビ化してしまったのだ
これは氷の魔法のせいだと言うべきなのだろうか…
必死になって逃げようとする一同だがあまりの寒さで体が言うことを聞かなくなっている
やっとの思いで階段が終わり、薄暗い通路に逃げ込む
辺り一面凍てついて体は自動的に震えてまともに声をだすこともままならない状態になりながらも出口を目指して走り続ける

「先に逃げて…」

またか!次は10代少女がゾンビ化してしまい離脱。
誰かがゾンビになっていく恐怖はどうすることも出来なく心細ささえ生み出して行く

やがて通路は行き止まりになった。

〜イオの解放軍〜

壁には題字に絵が描かれている。無数に散らばった何かを集める老婆の前で杖を天にかざす男の絵だ
こうしている間にもゾンビと化した二人は後ろから迫ってくる上に凍死も頭をよぎる
もうここで終わりかと思われた時、突然壁に扉が現れた
扉が開いたとき目も開けられない程の光と共に迷路に迷い込む前に見ていた景色の中で倒れた美少女がこちらに手を差し伸べている
その間に中年男性がゾンビに捕まって後ろに引きずられていく
うめき声を背に一心不乱に手を取り、僕は一人扉の中へ入った
そこには、男達が悲しくてとても美しいメロディのフォルクローレを演奏していた

月明かりは神々しく僕らを照らす。
太陽ほど眩しくなく、闇夜ほど暗くなく、優しく暖かく、どこか不可思議な月の明かりはいつも謎めいている
それでもいつかは月明かりも流れ来る雲に隠れ、影になる時も来るだろう